現在チェコに留学している、もしくはこれから留学するという人は、大学卒業後のキャリアをどのように描いていますか?チェコでの就職、帰国して日本企業で就職、もしくは全く別の国で就職…とさまざまな選択肢があります。ただどの選択をするにしても、「どのようにキャリアを描くか」「どうすれば内定を得られるのか」というのは気がかりなポイントのはず。キャリアを描くためにも、チェコでの就活事情を詳しく知っておかなければいけません。

今回は、チェコの企業や日本企業などへの就職活動の流れやポイント、それぞれの国の企業が求めるスキルなど、留学生に役立つ情報をわかりやすくまとめました。日本の就活と同じ部分があれば、異なる部分もあります。ポイントを正しく抑え、チェコの就活戦線を勝ち抜く知恵としましょう。

はじめに

就職活動は、人生の中で重要なターニングポイントです。日本の就職市場と海外の就職市場では、求められるスキルや文化が異なり、そのギャップをうまく埋めることが求められます。 就職活動においては、従来の日本企業が重視する「安定性」や「忠誠心」といった価値観と、海外企業が求める「グローバルな視野」や「柔軟性」といった価値観が交錯しています。

チェコのようなヨーロッパ諸国では、英語力や異文化理解、多言語能力が高く評価されるため、留学経験は大きな武器になります。その一方で、各国の就職市場や労働文化に対する理解が求められるため、適切な準備と情報収集が不可欠です。 

*プラハにあるMSD(製薬会社)のオフィス

チェコの就活とは?

チェコでの就職活動の特徴 

チェコで外国人として就職活動を行う場合、いくつかの特徴があります。

まず、チェコはEU加盟国であり、EU市民とそれ以外の国の市民に異なる就労ビザや規制が適用されます。日本から来た外国人の場合、まずは就労ビザの取得が必要です。チェコでは、技術職やIT分野、エンジニアリング関連の求人が多く、特にこれらの分野では英語力が求められることが一般的です。チェコ語を話せると有利ですが、英語のみでの就職も十分可能です。多くのグローバル企業や外資系企業では、英語が主要なコミュニケーションツールであり、外国人にとっては有利な環境です。

チェコの企業文化には、日本の企業文化とは異なる点も多く、フラットでオープンなコミュニケーションが重視されます。上下関係があまり厳しくなく、個々の意見や提案が重要視されるため、自己主張や積極的な意見交換が求められる場面が多いです。また、チェコの労働市場では、効率的で実践的なスキルが重視され、特に実務経験(インターンシップやアルバイト)を持つ人材が評価されやすいです。

チェコは日本のように新卒採用がない 

チェコでは、日本のような新卒一括採用の文化は存在しません。日本の企業が行う「新卒採用」とは異なり、チェコでは、学業を終えた後、卒業生が就職活動を始めることが一般的です。このため、就職活動のタイミングは個人のペースで行われます。 

チェコでは、卒業後の就職活動は非常に柔軟で、求人市場も個々の能力や経験に応じて求職者を受け入れる体制が整っています。そのため、企業は学生の卒業年次や年齢に関係なく、必要なスキルや経験を持った候補者を採用することが一般的です。 

「Job Seekerビザ」とは

チェコの大学を正規留学生として卒業した外国人学生は、「Job Seekerビザ」を取得して就職活動を行うことが可能です。このビザは、卒業後に最大9ヶ月間の就職活動期間を許可するもので、特に留学生にとっては非常に有益な選択肢です。

Job Seekerビザは、申請から最大9ヶ月間しか発行されません。このビザは一度発行されると延長は不可能であるため、ビザの期限内に就職先を見つけ、新しいビザに切り替える必要があります。具体的には、就職先が決まり次第、就労ビザに変更しなければなりません。このため、ビザの期限が切れる前に就職先が決まらなければ、チェコでの滞在資格がなくなってしまいます。 

就労ビザ 

チェコで就労するためには、就労ビザの取得が必要です。特に外国人にとって、ビザ申請は重要なステップであり、申請方法や必要な条件をしっかりと理解しておくことが大切です。

就労ビザの取得方法 

チェコでの就労ビザは、通常、チェコ国内の企業から内定をもらい、その企業で働くことを前提として申請されます。ビザは、内定を証明する雇用契約書を基に発行されるため、まずはチェコの企業から正式に雇用契約を結ぶことが必要です。 

ビザ申請の流れ

  1.  内定を受ける

まずは、チェコの企業から内定をもらう必要があります。内定を受けた企業から、雇用契約書が発行されます。この契約書に基づき、ビザ申請の準備が始まります。 

  1. 必要書類を準備する

就労ビザ申請には、いくつかの必要書類が求められます。

主な書類には以下が含まれます:

  • 雇用契約書(職種、給与、勤務条件が記載されたもの) 
  • 履歴書(チェコ語) 
  • パスポートのコピー 
  • 学歴証明書、職務経歴書(要求される場合がある)
  • 無犯罪証明書(要求される場合がある) 
  1. ビザ申請書を提出

必要書類を揃えたら、申請所にビザ申請書を提出します。申請には面接が必要な場合もありますが、通常は書類審査が行われます。 

  1. 審査とビザの発行

ビザ申請が完了したら、審査が行われます。通常、審査には数週間から数ヶ月かかることがあります。審査に通過すれば、就労ビザが発行されます。

ビザ取得後の注意点 

ビザ取得後には、いくつかの重要な注意点があります。これらを守らないと、ビザが取り消されたり、滞在資格が失効したりする場合があります。

  1. ビザの有効期限と延長手続き

チェコの就労ビザには有効期限があります。通常、最初の就労ビザは1年程度で発行され、その後は延長申請を行うことができます。延長申請は、ビザの期限が切れる前に行わなければなりません。延長手続きを怠ると、滞在が不法滞在として扱われ、ビザが取り消されることがあります。

  1. 職務内容の変更

就労ビザは、特定の職務内容に基づいて発行されるため、職務内容を変更する場合には新たなビザ申請が必要になることがあります。職務内容が大きく変更された場合、ビザを更新または変更する手続きを行う必要があります。 

  1. 社会保険と税金の支払い

チェコで働く場合、所得税や社会保険料、健康保険料などの支払い義務があります。チェコの税制や社会保険制度について理解し、適切に納税を行うことが求められます。 

  1. 居住登録・変更

チェコで長期間滞在する場合、居住登録を行う必要があります。住居を変更した場合には、速やかに住民登録を行い、チェコ政府に届け出る必要があります。 

チェコでの就職を目指すには

チェコでの就職市場 

チェコは中東欧の中でも経済成長が安定しており、特にプラハを中心とした都市部では、IT、製造業、サービス業などの分野で多くの求人が見られます。外資系企業が多く進出していることから、国際的な環境で働けるチャンスも豊富です。

プラハやブルノなどの主要都市には、アメリカ、ドイツ、日本などの外資系企業がオフィスを構えています。これらの企業は、英語を中心に業務を行うことが多く、外国人にとっても応募しやすい環境が整っています。

ITエンジニア、データアナリスト、カスタマーサポート、製造業の専門職などは特に需要が高いです。また、観光業や教育分野も求人が豊富で、留学生が採用されるケースもあります。

 チェコの採用プロセス

チェコの採用プロセスは、日本と比較して柔軟性が高いのが特徴です。履歴書(CV)やカバーレターを提出し、1~2回の面接で採用が決定することが一般的です。新卒一括採用の文化がないため、自分のタイミングで就職活動を進めやすい点も魅力的です。

チェコ語のスキルと英語力の重要性 

チェコ国内での就職活動では、チェコ語と英語のスキルが鍵となります。特に、どの言語を使うかは企業や職種によって大きく異なります。

チェコ語の必要性

チェコ語は、地元企業や公共サービスの職種で必須とされる場合が多いです。チェコ語が話せることで、より幅広い職種に応募できるようになります。また、日常生活でもスムーズなコミュニケーションが可能になるため、現地での生活が格段に快適になります。 

英語力の必要性

一方で、外資系企業や国際的な職場では、英語が主な業務言語となっています。英語力が高ければ、チェコ語のスキルがなくても就職できる可能性が十分にあります。特にIT業界やカスタマーサポートの分野では、英語を話す外国人が積極的に採用されています。

ヨーロッパでの就職を目指すには

ヨーロッパ各国での就職は、地域や国ごとに労働市場の特徴や文化が異なるため、その多様性を理解することが必要です。また、求められるスキルや資格、準備すべき事項を知ることで、スムーズにキャリアをスタートすることができます。

ヨーロッパ各国の就職事情

ヨーロッパでは、国によって経済の中心分野や就職市場の動向が異なります。そのため、自分が希望する職種や業界に適した国を選ぶことが重要です。

ドイツ

ヨーロッパ最大の経済大国であり、自動車、エンジニアリング、IT、医療などの分野で求人が豊富です。特に理系分野の人材に対する需要が高く、ドイツ語ができれば就職の幅が大きく広がります。

フランス

ファッション、アート、観光業が強い国ですが、ITや金融分野でも多くの雇用機会があります。フランス語が必要とされる場合が多いですが、外資系企業では英語が重視されることもあります。

オランダ

スタートアップやテクノロジー分野が盛んで、英語のみで働ける企業も多いのが特徴です。インターナショナルな環境で働きたい人に適しています。

北欧諸国(スウェーデン、デンマーク、フィンランドなど)

ワークライフバランスの良さで知られており、ITやサステナビリティ関連の職種に強みがあります。英語が通じる職場も多いですが、現地語ができると生活がさらに快適になります。

求められるスキルや資格 

ヨーロッパでの就職では、業界や職種によって求められるスキルや資格が異なりますが、以下の点が共通して重要です。

言語スキル

英語はほとんどの国で共通言語として使われるため、英語力が必須となることが多いです。また、現地語ができればさらに選択肢が広がり、採用される可能性も高まります。

専門スキルと資格

ヨーロッパでは、職種によっては専門資格が重視されます。例えば、エンジニアリング分野では特定の技術資格が求められることが多く、求人に記載されています。

ソフトスキル

チームワーク、問題解決能力、多文化対応力など、柔軟性を持ったソフトスキルが求められる傾向があります。特に国際的な職場では、多文化環境での適応力が重要視されます。

日本での就職を目指すには

オンラインでの就活

チェコにいながら、日本の企業への応募や面接を実現できるオンライン就活は、多くの面で留学生にとって理想的な方法です。一つ目の利点は、「どこからでも応募が可能である」という点です。インターネット環境が整っていれば、チェコに滞在中でも日本の求人情報にアクセスし、応募することができます。

また、オンラインでの就活は、日本国内だけでなく海外勤務を視野に入れたポジションの発見にも役立ちます。チェコの留学経験や英語力を活かしやすい職種を探すことが可能です。さらに、面接においても、Web面接を導入する企業が増えたため、渡航の手間やコストを削減しながら、日本企業とのコミュニケーションを進めることができます。

オンラインでの就活の難点

チェコと日本の時差は約8時間(夏時間の場合は7時間)です。この時差は、オンライン就活において大きな課題となります。例えば、日本の企業が通常の営業時間内に行う面接や選考会は、チェコ時間では早朝や深夜に当たる場合が多いため、生活リズムを調整する必要があります。

キャリアフォーラムや就職イベント 

日本への帰国を考えるチェコ留学経験者にとって、キャリアフォーラムや就職イベントは就活を進めるうえで非常に重要となります。これらのイベントは、留学生や海外経験者に特化して設計されており、日本企業と直接つながる貴重なチャンスを提供します。

特に、ボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)やロンドンキャリアフォーラム(ロンキャリ)は、海外経験者が活用できる代表的な就職イベントです。 

キャリアフォーラムの特徴と魅力 

キャリアフォーラムは、海外に拠点を置く留学生や日本人学生を対象とした大規模な就職イベントです。これらのイベントでは、複数の企業が一堂に会し、短期間での面接・選考を進められることが特徴です。会場では企業ブースが設けられ、訪問者は企業の担当者と直接対話しながら情報収集を行い、その場で面接を受けることも可能です。 

代表的なキャリアフォーラム

ボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)

ボスキャリは、ボストン(米国)で毎年開催される、世界最大級の留学生向け就職イベントです。日本の大手企業から外資系企業まで幅広い業種の企業が参加し、留学生を積極的に採用しています。

ロンドンキャリアフォーラム(ロンキャリ)

ロンキャリはロンドン(英国)で開催されるキャリアフォーラムで、特に日本企業や国際的に事業を展開する企業が多く参加します。規模はボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)ほど大きくありませんが、各企業の説明をじっくりと聞く機会が得られる点が特徴です。

チェコ留学した人の強みや競合優位性

チェコ留学を経験した人は、日本の大学出身者とは異なるスキルや視点を持つことが多く、その強みは就職活動やキャリア形成において大きなアドバンテージとなります。

チェコで学ぶ留学生は、多国籍の学生と共に学ぶ機会が多く、国際的な環境に身を置くことになります。異文化交流の中で培う柔軟性や異なる価値観への理解は、日本企業が求める「グローバル人材」として大きなアドバンテージとなります。日本の大学でも留学生は増えてきていますが、その環境や規模、国際性の面ではチェコの大学に比べると限界があります。

チェコでの学びが日本企業でどう活かせるか 

チェコでの学びを活かす方法としては、いくつかの重要な点が挙げられます。

  1. 異文化理解力 

チェコでの日常生活や教育環境では、多国籍の学生や教授陣と関わることが不可欠です。この経験を通じて得られる異文化理解力や柔軟なコミュニケーション能力は、グローバル市場での取引やプロジェクトにおいて非常に重要です。 

  1. 高い語学力 

チェコでの留学経験は、英語力を育てる絶好の機会です。授業や課題が英語で行われるため、アカデミックな文章の読み書きから、日常会話やビジネス英語まで幅広い語学スキルが身につきます。また、チェコ語や他のヨーロッパ言語を学ぶことで、さらに多様な市場での活躍が期待されます。 

まとめ 

チェコで学生生活を過ごすことで、チェコやその周辺の国での就職活動は間違いなく有利となるでしょう。社会人として十分な語学力を備え、かつその国の文化や企業風土に素早く適応できるはずです。

日本企業での就職を目指すなら、チェコで得た異文化理解や柔軟性を強調することが重要です。日本企業でも国際化が進んでおり、グローバルな視点や異なる文化に対応できる能力が求められています。チェコでの留学生活は、これらのスキルを自然に磨く機会を提供します。また、チェコで学んだ英語や他の言語のスキルは、日本国内でも非常に高く評価されます。国際的な業務や海外拠点との連携が必要な企業にとっては大きな魅力です。 

総じて、チェコ留学は今後の就職市場で競争優位性を確保するための大きな武器となります。留学中に得られる多文化的な理解、語学力、実践的な学びをうまく活かすことで、チェコ、日本など多様な国でのキャリア形成の可能性を切り開くことができるでしょう!

記事監修・・・小泉 涼輔
記事監修・・・小泉 涼輔

U-LABO代表。高校の時の偏差値28から、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)を飛び級で卒業。日本で最もアメリカ名門大学への編入に精通した専門家の1人として、これまでに多くの学生を合格に導いている。2022年にはUCLAが選ぶグローバルに影響を与える企業・起業家100(「UCLA Bruin Business 100」)に選出された。著書「UCLAに留学したいと思ったら読む本
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