日本でも人気の職業である、「医師」。アメリカでも非常に人気の職業であり職業別平均年収ランキングでは常に上位に位置しています。

日本で医学部に入学するのに必要な学力はとても高いレベルを求められているということは周知の事実ではありますが、「アメリカの医学部に行きたい!そして将来は、アメリカで医師として活躍したい!」そんな夢を叶えるためにはどうすれば良いのでしょうか。

「日本とアメリカでは医師になるための過程にどのような違いがあるのか」、そして「日本人がアメリカの医師免許を取ることはできるのか。」

今回は、こうした疑問にお答えしていきます。

その他の医療系資格についてのルートと難易度は、以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧くださいね!

関連記事>>>アメリカで歯医者になるには?おすすめのルートと難易度

関連記事>>>アメリカで看護師になるには?おすすめのルートと難易度

関連記事>>>アメリカで獣医師になるには?おすすめのルートと難易度

U-LABOは、あらゆる学生のための「海外大学進学予備校」です。
1人1人に合った多彩な受験プログラムを用意しています。
費用が高いから…英語力がないから…そのお悩みをまずは聞かせてください。
海外大学に行きたい!と思ったそこのアナタ。
U-LABOで夢をかなえてみませんか?

プログラムの概要が5分で分かる!
資料ダウンロードはコチラ

日本で医師になる方法

日本で医師になるには、以下のステップを踏む必要があります。

医学部合格→医学部で6年間の教育を受ける→医師国家試験に合格(ここで、医師免許を取得)

晴れて医師国家試験に合格して医師免許を取得したら、ほとんどの学生は2年間の「初期臨床研修医」として研修先の病院で様々な診療科を周り、大学で学んだことやより専門性の高い手技などを実際の現場で習得していきます。

医師国家試験の合格率は9割超えと、他の医療系の国家試験と比較して合格率高いことでも有名ですが、そもそも医学部への入学はどこも極めて難関であり、そこから6年間の学生生活で課される大量の暗記、実習、試験などを乗り越え、ドロップアウトせずに進級し、6年生の国家試験直前には各大学で卒業試験までもを乗り越えなければなりません。

この卒業試験では、国家試験よりも難易度の高い問題を課す大学もあり、それらをこなしていく必要がありますので、医学部に入学するのも、そして入学した後も、日々進歩する医学を常に勉強しなければならず、まだ業務は命への責任が伴う大変な職業です。

母国語で勉学できる日本であっても、医師になるまでの道のりは、とても難しいことが分かります。そして人の命を預かる以上、勉強不足による致命的なミスは絶対に許されない職業のためストレスが常にかかる側面もあります。

「アメリカで医師になれる」は本当か?

「アメリカで医師になるには、まず4年制大学で学士号を取得し、専門職大学院(Professional School)に相当するメディカルスクールに4年間通う必要があります。」と紹介されていることが多いですが、本当にこのルートでアメリカで医師になることが可能なのでしょうか?

アメリカは、学生一人一人の生活環境や育ってきた文化背景の違いなどに対して寛容な国で、他国からの留学生に対しては、色々と融通を利かせてくれることも多いです。成績の評価や単位数等、アメリカと日本の間には、様々な教育制度の違いがあるにもかかわらず、できる限り受け止めようと最大限の努力をしてくれます。

よって、留学生にとっては、自国の高校を卒業した後、コミュニティカレッジへの入学や、私立大学などでは一般的な奨学金制度の利用などの門戸が開かれており、本来とても留学しやすい国です。

様々な移民を受け入れているだけでなく、アメリカンドリームを夢見る留学生に対しても多様な機会が与えられている国・アメリカであっても唯一(と言っていいほど)、認めてくれないのがアメリカで「医師」になる事。厳密に言えば、医師になるための過程に進む事を許可してもらえない(つまり、メディカルスクールへの入学許可が下りない)事が多いのです。

では、なぜメディカルスクールの入学が留学生には難しいのかというと、大きな理由としてこの記事では4点挙げたいと思います。

①アメリカ人でもメディカルスクールに合格できるのは極めて稀。

メディカルスクールといっても、世界的に有名な大学のメディカルスクールから地域に根ざしたメディカルスクールまでありますが、基本的な合格率(Acceptance Rate)はそれでも基本的に10%以下です。

先ほど説明した通り、メディカルスクールに入るには、まず大学(Undergraduate)の学士号(Bachelor Degree)を取得しなければなりません。学士号を取得するメジャーは問われませんが、取得だけではメディカルスクールへの合格は不可能といっても過言ではありません。

なぜなら、学士号に加えて、メジャーの授業以外にもメディカルスクールでの医学の勉強の基礎となる生物学や化学などの授業を一定の単位数取得する必要もあります。(この生物学や化学の授業を追加で履修するのが大変ということで、メディカルスクール受験者のうちの半数以上は理系メジャー出身であると言われています。)

履修するだけではなく、メジャーや生物・化学系の単位で、高いGPAも必要になります。メディカルスクールに合格するために必要な平均GPAは3.6以上と言われており、レベルの高い大学のメディカルスクールとなると合格平均GPAが3.9程になります。

またメディカルスクールを受験する前にMCATという試験を受験生全員に科されており、このMCATでも好成績をおさめる必要があります。

勉学以外にも、研究室に所属して実験活動をしたり、クラブや慈善ボランティア活動などで積極的に活動することも必要です。また、受験者自身の人柄についてよく知る教授や先生などからの推薦状を要求されます。推薦状も1名からだけではなく、複数名からの推薦状を要求してくることも多数あります。

このようにメディカルスクールの受験を希望する場合、学部生として入学する段階から周到に準備し、日々の大学生活だけでなく、多くの課題を乗り越えて行かなければならず、現地のアメリカ人学生にとっても、とてもストレスのかかる受験であるというのが想像できます。

②メディカルスクールの学費は半端じゃない。

1年間で500万円以上です。そのため多くのメディカルスクール合格者は、州や大学からの奨学金などを利用して学費をまかないながら学生生活を送ります。税金納付している州内在住者であれば、In-State students(州内学生)として、安い学費で通うことができる公立のメディカルスクールもありますが、留学生は基本的に高額な学費を支払わなければなりません。また奨学金なども留学生に応募可能なものは限られているため金銭的な負担がとても大きいです。

③多くのメディカルスクールの理念として、Local Doctorを育てるというのが根付いている。

様々な大学の合格率についての記事を作成しているアメリカのサイト Accepted.com の全てのメディカルスクールの合格率に関する記事に添付してある表をご覧いただくと、In-State acceptance rate(州内合格率) とOut-of-State acceptance rate(州外合格率)という記載があると思います。

この2つの指標がなぜ存在するのかというと、多くのメディカルスクールというのは、メディカルスクール卒業後も州内に残ってくれる高度な医療を提供できる医師を育てたいという考えが基本的にあるためです。アメリカでも医師不足というのは懸念されており、田舎の州になればなるほど医療提供が難しい状況になっているのが現場です。

そのため、卒業後も州内に残る医師数の確保というのは必須となっており、州外のアメリカ人の学生でさえ枠がほとんど与えられないメディカルスクールが多いため、留学生が入学できる枠というのはほとんどないという状態に等しいといえます。

※理由①で述べた10%以下という数字は、一般的なメディカルスクールのOut-Of-State Acceptance rateをおおよそ平均した数字であり、留学生の合格率というのはより低い数値になると考えられます。

世界では、国の中に医師になる過程が定められていなかったり、国家資格になっていない国があります。アメリカで留学生用の医師になるためのコースを取る事が許されるのは、そのような国からの受験者です。

日本は、同じ留学生であっても、「医師」という国家資格が存在し、医師になるための過程もしっかりと決められています。医師になる過程がきちんと作られている国からの留学生には、ほとんどチャンスを与えてもらえません。

インターネットには、「アメリカで医師になれる」という情報があふれています。理論的には、これらの情報は正と言えますが、実情は異なります。大学側も、「この国の留学生は入学しづらい」というようなことは大っぴらには言えないため、公式サイトの入学資格などにも書いていないことが多いのです。また、実際に大学に問い合わせたとしても、公式サイト以上の回答が返ってくることはありませんので、実際に出願してみないと、このような実情に気づけない、ということがあります。

このような実情を知らないまま、ネットの情報を鵜吞みにして留学してしまうと、メディカルスクールに行けないまま帰ってくる羽目になってしまい、結局医師になれなかったという事にもなりかねません。

④卒業後のビザ問題

最初の四年制大学への入学の際には、必要な学生ビザ(F1 visa)が基本的には問題なく発行されますが、メディカルスクールに留学生が入学する際にも同じビザが必要となります。しかし、メディカルスクールを無事に卒業できても、その後の就労ビザを発行してくれる病院というのは滅多にありません。就労ビザを発行するための費用が必要のないアメリカ人の学生を採用する方が病院側にとっても経営上都合が良いというわけです。

このように理由をいくつか述べさせていただきましたが、筆者としても今のところは、留学生がメディカルスクールに合格できるチャンスはほとんど無いと思っていただいていた方が良いと思います。(なお、アメリカにも国籍を持っている場合はこの限りではありません)

ちなみに、歯科医師や、獣医師に関しても、Dental SchoolやVeterinary Schoolが存在し、受験方法としてはメディカルスクールと似ています。、看護師の場合、学士課程でメジャーとして看護を選択し、卒業後から正看護師(Registered Nurse, RN)になることもできます。

歯科医師や獣医師をアメリカで目指すのは、やはりメディカルスクールと同じで、就労ビザ問題だけでなく、先ほどあげた学費や学力的な問題が多いため、留学生にはとても壁が高くなっています。

看護師に関しては、留学生でもNursing Majorで卒業し正看護師としてアメリカで働く人はいますが、卒業後の就労ビザ問題が障害となり、多くは看護師免許だけ取得する形になってしまうのも実情です。

他の国では医師になれるのか?

他の国では、日本人に対しても医師になる門戸を開いていますが、外国で医師になるという事は至難の技といっていいでしょう。例えばオーストラリアはアメリカと同じく人気のある留学先の一つですが、日本人でも医師免許を取ることが可能です。

シドニー大学を1つの例としてみると、大学4年+大学院4年+インター+フェローと医師になるためには、日本と同じくかなりの時間がかかります。又、シドニー大学は、留学生を最初の大学学部の段階で10人しか取ってくれません。日本人を10人取ってくれるわけではなく、留学生で10人です。

留学生の中には、中国人、韓国人、タイ人、インド人等様々な国からの受験生が含まれています。アメリカと違い、最初から門戸を閉じているわけでは決してありませんが、最初の10人に選ばれなければその先はありません。難易度的には、日本で医師になるよりも遥かに高いこととなります。

アメリカで医師になりたい人のおすすめの留学方法

日本人には、日本での国家資格として「医師免許」を取るまでの道が確立されています。そのため、日本で医師免許を取得した後に、アメリカに留学をするのがおすすめです。日本で医師をしていれば、所属する大学病院を通じて、コネクションのあるアメリカの病院へアプローチをすることで、アメリカへの研究留学の道が開けるでしょう。

もしも研究ではなく、手術や診療を行うような『臨床現場』に立ちたいというならば、アメリカの医師免許試験を受験しなければなりません。メディカルスクールを卒業していない日本人でも(WFME機構に認定された)日本の医学部に在学および卒業すれば、アメリカの医師免許試験への受験資格として満たしていますので、受験できます。

そして試験に合格すればアメリカのメディカルスクールを卒業した人と同じように医師として働くことができます。このアメリカの医師免許試験をUSMLE(United States Medical Liscencing Examination)といいます。この試験の内容は、2023年現在、3種類(Step 1, Step 2 CK, Step 3)が存在しており、加えて、海外の医学部卒業生は、USMLEの他にもOET(Occepational English Test)という医療系英語の試験も受験しなければなりません。

話は少し難しくなるのですが、アメリカで医師として働きたい場合、USMLEのStep 1とStep 2 CKという2つの試験と、OETの3つの試験に合格する必要があります。(USMLE Step 3はアメリカで医師として働き始めてからの受験でも構わないとなっています。)

難易度は本当に高いですが仮にアメリカで医師免許取得を目指す場合でも、終盤で必要な現場研修は、コネクションが必要と言われていますので、まずは日本の病院で勤務実績を作り、コネクションを利用する方が後々のためにもスムーズになります。

また日本の国立大学医学部の学費は、アメリカのメディカルスクールと比較して非常に安く、また日本の医療というのはアメリカと同等に発展しているため、勉強内容としては全く不利になることはないと言えるでしょう。

つまり、日本で医学部に入学・卒業して医師免許を取得してからアメリカ留学を検討する方が、留学生がアメリカで医師になるためにはスムーズであると言えるでしょう。

まとめ

医師になる事は、人の命を扱う仕事であり、常に進歩する医学に追いつくために医師になってからも勉強を欠かすことができず、勉強不足によるミスは許されない仕事です。日本人であれば、先ずは、日本国内での医師免許取得をお薦めします。

日本語の中で育ってきた方は、どうしても超えられない文化、言葉の歴史、ニュアンスの壁というものがあります。先ずは、母国語で免許を習得し、その上でアメリカで研究や研修、技術取得を目指していただく方が現実的ではないでしょうか。

今回の記事では、アメリカで医師になるには、非常にハードルが高いことをお伝えしました。また、費用面や卒業後の就労面でのハードルも高くなっていることを念頭に置いたうえで、本当にアメリカのメディカルスクールに入って、アメリカで医師になりたいのか、ご自身でも色々調べてみてください。

アメリカで医師になることを目指す皆さんにとって少しでも有意義な記事になっていれば幸いです。

無料相談も実施しているのでお気軽にご相談ください。

U-LABOは、あらゆる学生のための「海外大学進学予備校」です。1人1人に合った多彩な受験プログラムを用意しています。費用が高いから…英語力がないから…そのお悩みをまずは聞かせてください。
海外大学に行きたい!と思ったそこのアナタ。U-LABOで夢をかなえてみませんか?

まずは話を聞いてみたい!という方は、無料カウンセリングを実施しているので、お気軽にご相談ください。最初からカウンセリングはハードルが高い…という方は、LINEでの簡易質問も受け付けています。定期的な情報発信もしているので、ぜひ友だち登録してみてくださいね!

記事監修・・・小泉 涼輔
記事監修・・・小泉 涼輔

U-LABO代表。高校の時の偏差値28から、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)を飛び級で卒業。日本で最もアメリカ名門大学への編入に精通した専門家の1人として、これまでに多くの学生を合格に導いている。2022年にはUCLAが選ぶグローバルに影響を与える企業・起業家100(「UCLA Bruin Business 100」)に選出された。著書「UCLAに留学したいと思ったら読む本
小泉SNSアカウント↓

記事監修・・・Kanami Tanaka 

アメリカのコミュニティカレッジからUCSDへ編入&卒業し、日本の医学部へ編入した異例の経歴の持ち主。2023年現在は日本の現役医学生として奮闘している。TOEIC満点保持者。

About Us:株式会社U-LABO

私たちは、海外トップ大学を目指す日本人学生のための留学サポート会社です。

世界の名門大学と言われるカリフォルニア大学への合格実績は、なんと100%!レスポンスの速さやサービスの質の高さで、生徒や保護者様からも非常に高い評価を得ており、ありがたいことに年々入会者数が増加中。

無料カウンセリング予約・お問い合わせ・最新情報の配信は公式LINEから!