オーストラリアで、そして世界でもトップクラスの学術・研究レベルを誇るシドニー大学。留学先としても人気が高く、ここに世界140を超える国から学生が集っています。その大学で2024年2月から学ぶ小林貴乃さんに、シドニー大学の魅力やオーストラリアのリアルな生活について聞きました。高い専門性の追求と、穏やかなシドニーライフを全力で楽しむ様子が伺えました。

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簡単に自己紹介を

2024年2月からシドニー大学の理学部で、「生化学」と「ビジネス解析」という2つの分野を専攻しています。
趣味は読書、ゲーム、カメラ、散歩…総じて「人生を楽しむ」という感じのことが好きです。最近は、家のそばのビーチ沿いを散歩してから、海が臨めるカフェに行くのがお決まりのコースです。新しいことにチャレンジするのにためらいはありません!

海外大学へ進学しようと考えたきっかけ

中学まで海外のインターナショナルスクールに通っていたので、海外大学進学という選択肢はもともと頭の中にありました。

そうした思いはあったものの日本の高校に入り、その後そのままエスカレーター式の大学で 1 年間を過ごしました。そして1年の終わりにその年を振り返った時、「海外大学生活を経験しないまま、就職するのは嫌だ」と漠然と思い始めたのです。「環境次第で自分はもっと成長できる気がする」という思いが日増しに強くなり、本格的に留学を意識し始めました。 あくまで個人の意見ですが、日本の大学は「受験がゴール」という意識が強く、大学に入ってから意欲的に活動している人があまりいないという印象でした。一方海外は偏差値というものさしではなく、「自分が何を学びたいか」ということを明確にして大学を選びます。私も自分が選んだ興味関心を追求したいと思ったのです。

日本の大学生活を4年間頑張ってから、海外の大学院へ進むという選択肢もあったのですが、海外大学について調べていくうちに「3年も待てない」とどんどん意欲がわいてきて…急遽学部進学することにしたのです。

シドニー大学を選んだ理由

最初からイギリスか、オーストラリアの大学を候補としていました。イギリスは、親の仕事の関係で昔住んでいたので馴染みがありました。オーストラリアもイギリスと似た雰囲気があるからです。

最終的にオーストラリアを選んだ理由としては、治安がよく、入学時期が私にとっては最適だったからです。イギリスの大学入学資格「A-levels」を使って出願したのですが、A-levelsの結果は毎年8月に出ます。そうなると9月入学の大学では出願時期には間に合わず、余計に1年間を過ごしてしまうのです。年末が出願時期であるオーストラリアの大学は余計なロスがありませんでした。

またオーストラリアには住んだことがなかったので、一度ライフスタイルを経験してみたいなと思いました。
シドニー大学は専攻が多く、理学部内でも確か40以上の選択肢があります、そしてその中から、その最大 2つの専攻を選べます。専門性を高めるため、似た分野(生化学と生物など)を選ぶ人が多いのですが、自分が「学びたい」と思ったものを自由に組み合わせることもできます。そこは珍しいポイントではないかなと思います。この自由度の高さは魅力的です。
また、最初に決めた専攻をのちに変更することもでき、1 年目の後半や 2 年目の最初で方針転換する人もいます。いろいろ試して、自分が本当に好きだと思えるものに集中できるのがすごくいいなと思いました。

留学前の英語レベル

親の仕事の関係で 5 ~8 歳はイギリス・ロンドンで過ごし、一度日本に戻って2年間たった後、10~15 歳まで香港で暮らしました。15歳まで日本にいる期間も含めて全てインターナショナルスクールに通っていました。学校では英語、家では日本語という生活でした。日常生活、勉強においても特に支障なく英語を話せます。

シドニー大学への入学方法

イギリスの大学入学資格「A-levels」の成績を使って、学部1年に直接入学しました。
「A-levels」を受験した理由としては、何より自分の能力を試したかったということがあります。「A-levels」は IB などいろいろな試験がある中でも、特に基礎知識がしっかり身につく試験だと思っています。
勉強期間は本当に短くて、 2023年2~4月の3 ヶ月間毎日勉強しました。公式ウェブサイトから教材を手に入れ、主に過去問を中心に勉強を進めました。
試験は5~6 月を通し、3科目の試験をそれぞれ6回、計18回挑戦しました。受験科目は進みたい大学や学部に応じて決まっています。シドニー大学理学部は「数学と2つの科学」という規定だったので、私は数学、化学、生物を受けました。

合格点

「A-levels」の場合は、「 A スター」「A」「B」「C」という成績に、それぞれポイントが付けられます。Aは5ポイント、Bは4ポイントというような形です。そして3 科目合計で 13 ポイント以上となれば、合格レベルです。英語の学力証明のためには「IELTS」を利用しました。合格ラインは「平均評価が 6.5 以上、すべての項目で最低でも6.0」でしたが、私は「リーディングとリスニングは9.0」、「ライティングとスピーキングは 7.5」で、合計すると「8.5」という結果でした。

留学の不安

幼少期から日常的に英語を使っていたので、語学力についてはあまり不安はなかったです。日本に帰国したときも、海外の友人とよく連絡を取ったり、携帯の表示をすべて英語にしたりして意図的に英語に触れるようにしていました。
ただ、オーストラリア独特のアクセントに慣れたり、学術用語ばかりの論文をすらすら読むようになったりするには少し時間がかかりました。最近は読書に力を入れて、リーディング力を高めるようにしています。
一番の不安は、家族と離れて一人暮らしをすることでした。留学エージェントの助けを借りながら、生活基盤を整えてきました。こちらに来てからは「楽しい」が勝っていて、あまり不安は感じていません!

キャンパスについて

キャンパスがすごく広く、全体的にのんびりとした雰囲気が漂っています。自主勉強用のスペースだけではなく、学生が集まって会話できるような学内カフェもたくさんあります。学業だけではなく、生活面も充実させてくれるキャンパスだと感じています。友人たちとは、留学生用ラウンジや芝生スペースによく集まっています。イギリスの大学などで見るゴシック調の建物も魅力ですね。

学業について

「生化学」と「ビジネス解析」という2つの分野を専攻しています。
生化学は、主に体内で起こる様々な化学反応や生命現象を研究する分野です。微生物学や有機化学を主に扱っています。 日本の大学に通っていた時は化学を専攻していたのですが、もっと的を絞って生化学に集中したいと思っていました。ちょうど自分の興味「ドンピシャ」なものを学べているという実感があります。
ビジネス分析は、過去のデータをもとに将来を予測し、それを用いていかにビジネス課題を解決できるか考えます。具体的な勉強内容はプログラミングや数学です。
似た分野としては「データサイエンス」があるのですが、そちらは生のデータを情報に変換する方法の研究に特化しています。それと比べてビジネス分析は、情報をもとにビジネスを変化させていく内容なので、求められる知識や能力は少し違うのです。

学業と遊びの割合として「学業6、遊び 4」を 目指していますが、実際は「8 対 2」 になってしまいます。課題が多く、結構時間を割かないといい成績が取れません。自然と多くの時間を費やしています。
勉強場所としては、図書館が多いです。キャンパス内に図書館だけで3カ所ほどあり、それぞれモダンな感じ、すごく賑やかな感じ、静かな感じと雰囲気が違います。自分の気分に合わせて場所を変えています。図書館の中にはちょっとしたキッチンスペースや自販機があるので、長時間過ごそうと思えばいられる環境が揃ってます。

友達作り

留学生たちは、お互いに誰も周りに知り合いがいない状況なので、友達の輪を広げることに抵抗がありません。
しかし、最初は海外の方と打ち解けるのにすごく苦労しました。お互いの共通項がなさすぎて、何を話せばいいのかわからないみたいな状況に陥ることが多くて…。
体感ですが、日本人の学部進学者は20人程度で、どちらかというと短期の語学留学の方が多いと思います。学部留学生はアジア圏の方が多くて、中国、韓国が中心です。

大学のサポート体制

感覚として、シドニー大学の教授たちは大学に対してすごく誇りを持っていて、学生の育成にもすごく力を入れていると思います。どの教授も生徒と関わりを持つことを大事にしてくれます。成績だけではなく、体調や精神面でも生徒を支えたいという思いが伝わってきます。
生徒を支える制度も整っていて、「学生センター」では、学生の生活をサポートするのに特化した職員さんが学業以外の相談(生活面や金銭面など)にも乗ってくれます。私も履修方法など手続き的なことを尋ね、スムーズに進めることができました。

生活について

1 学期目は大学とは別に民間が運営する学生寮で暮らし、2学期から賃貸で一人暮らしを始めました。
学生寮は、価格によってさまざまな部屋が提供されています。全部が揃ってるスタジオルームみたいなものもあれば、キッチンだけ共同、キッチンとお風呂が共同といったものもあります。私は合計 8 人のシェアルームに住んでいました。 2人で1 部屋を利用して、キッチンも共用で使っていました。
一人暮らしを始めると、外食が高いので、自炊は特に頑張ってます。生活費としては 10 万円前後です。かなり食費の割合が高いです。家賃は物件によってピンキリで、だいたい 12 万円程度でしょうか。
留学生の中にはアルバイトをしたり、シェアハウスに住んだりして節約している人も多いです。

オーストラリアカルチャーについて

カンガルーの肉が好きになりました。「オーストラリアのマスコットみたいなものを食べてもいいのか」と不安だったのですが、一度食べるとすごくあっさりしてて美味しかったです。
一番のカルチャーショックは、生活時間の違いです。オーストラリアの人はとにかく朝型で、カフェはだいたい午前 7 時から午後 3 時まで、レストランもお昼ぐらいに開いて午後 9 時には閉まります。なので結構夜は閑散としているのですが、逆に朝、町に出るとコーヒー片手に散歩している人がたくさんいます。「1 日を朝から満喫する」というライフスタイルに驚きました。
オーストラリアの人たちは「生活の質」や「人生において何が大事か」ということを明確にしていて、家族や大切な人たちと過ごす時間をすごく大切にしています。カフェでは家族や友達と過ごす人が多く、それを見ているとすごく心が温まります。
そして皆さん、おおらかで明るいです。自然や海が近くにあり、「悩み事があっても、結局は大したことない」と考えられるようです。心が整っているのでしょうね。

今後について

もともと「ビジネス分析」はあくまで選択肢を広げるために履修したのですが、 1 学期、 2 学期と学ぶうちにビジネス分析の方が生化学より面白く感じてきたのです。なので、卒業後は「ビジネスアナリスト」、主にコンサルティング職として、オーストラリアでバリバリ働きたいなと思っています。
ただ就職のためには乗り越えなければならない課題もあります。今、学生ビザで滞在しているのですが、オーストラリアの企業で働くためには、就職活動時に「永住権」「就労ビザ」を取得していることが条件なのです。それをどう解決していくか、就職センターのスタッフの方と相談を重ねています。

留学を望む後輩に向けてのメッセージ

「留学に行きたい」と少しでも思うなら、心に従って突き進むべきだと思います。留学はたくさんの扉を開いてくれ、どんな辛い経験も楽しい経験も、すべて自分を成長させてくれます。迷っている時間がもったいないです。本当に行きたいと思うなら行くべきです。挑戦しない後悔より、挑戦した後の後悔の方がやっぱりいいと思うので。私は今の状況に全く後悔はないです!

この他にも、U-LABO生やアメリカ大学卒業生の体験談を多数ご紹介しておりますので、以下よりぜひご覧ください!

U-LABO体験談 – U-LABO | 世界トップ大学への進学 (ulabo.org)
学生・卒業生インタビュー – U-LABO | 世界トップ大学への進学 (ulabo.org)

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記事監修・・・小泉 涼輔
記事監修・・・小泉 涼輔

U-LABO代表。高校の時の偏差値28から、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)を飛び級で卒業。日本で最もアメリカ名門大学への編入に精通した専門家の1人として、これまでに多くの学生を合格に導いている。2022年にはUCLAが選ぶグローバルに影響を与える企業・起業家100(「UCLA Bruin Business 100」)に選出された。著書「UCLAに留学したいと思ったら読む本
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