カナダ上位校・サイモンフレーザー大学へ進学しよう／特徴は学びながらの就労経験プログラム

カナダの有力大学・サイモンフレーザー大学。大学の歴史はまだ60年ほどですが、研究活動と、幅広い学部・大学院プログラムの提供に力を入れ、各分野で高い実績を上げています。就職に役立つ実践的なプログラムも魅力の一つです。

この記事では、サイモンフレーザー大学の基礎情報や特徴のほか、進学方法などについても解説しています。進学方法としては、直接入学と「編入」があり、いずれも高い英語力が必要です。

U-LABOでは、海外大学進学に役立つ英語力アッププログラムを展開しています。サイモンフレーザー大学への進学方法やそれを実現するための英語力の獲得方法について詳しく知りたい方は、ぜひご相談ください。

サイモンフレーザー大学とは？

サイモンフレーザー大学の基礎情報をまとめています。まずは大学の概要を掴んでみましょう。

基礎情報

サイモンフレーザー大学は1965年に創設され、大学名はカナダ西海岸を開拓した探検家サイモン・フレーザー（Simon Fraser）に由来します。

3つのキャンパスがあり、学生数は計37,000人。留学生比率はカナダで4番目（QS世界大学ランキング2025より）に高く、国際色に富んでいます。教員についても、約1,000人のうち400人程度がカナダ国外出身の教員となります。世界中から一流のプロフェッショナルが集まっています。国際学生サービスオフィスといった留学生のサポート機関も充実しています。

学生のクラブ活動も盛んで、キャンパス内には230を超える学生クラブが活動しています。

サイモンフレーザー大学の特徴

サイモンフレーザー大学は学習と就労を組み合わせた独自の教育モデルがあり、実践的な教育大学としても名をはせています。

Co-op（協同教育）に注力

サイモンフレーザー大学は、世界的に認められた組織や企業と協力し、学生に就労体験の機会を提供する「Co-op（協同教育）」と呼ばれる教育に力を入れています。Co-opに参加すると、有給の就業経験に取り組み、フルタイムの学習と同等とみなされます。毎年9,000人ほどの学生が、Co-opを通じてアマゾンやマイクロソフト、グーグルといった世界的企業と結びついています。

Co-opに参加するメリットとしては、大学生活の早い段階から就職・研究に役立つネットワークを作れる点です。また学部課程にいながら、Co-opで実績的な仕事の経験を積むことができます。卒業後の就職市場でも有利になるでしょう。

世界の大学で上位1～2％

サイモンフレーザー大学は世界的にも一流の研究大学で、常に世界の大学の上位1～2％に位置づけられます。世界大学ランキングセンターによるランキング（2024）では、上位1.9％に入りました。

カナダの雑誌「マクリーン誌」の大学ランキング2025では、カナダ総合大学第1位に輝きました。このマクリーン誌のランキングにおいて、サイモンフレーザー大学が17年間で16回もトップを維持しています。学生サービス、運営予算、図書館サービスの優秀性などが評価されました。また、世界大学イノベーションランキング2024では、世界15位という好位置につけました。

多彩な卒業生

サイモンフレーザー大学は、多彩な卒業生を輩出しています。例えば、元ブリティッシュコロンビア州知事のゴードン・キャンベル氏といった政治家、義足のランナーテリー・フォックス氏といったアスリートなどです。このほかジャーナリストやプログラマーなどさまざまな分野で活躍する人材の育成に一役買っています。

サイモンフレーザー大学の環境

サイモンフレーザー大学のキャンパスや、その周辺環境について説明します。

キャンパスについて

サイモンフレーザー大学には、3つのキャンパスがあります。それぞれの特徴を紹介します。

・バンクーバーキャンパス

世界でも「住みやすい」とされる都市・バンクーバーのダウンタウン中心部にバンクーバーキャンパスはあります。芸術センターやベンチャーラボ、アートスタジオなどさまざまな施設を備えています。

・バーナビーキャンパス（メインキャンパス）

バーナビーキャンパスは、バーナビー山の頂上に位置します。カナダを代表する建築家アーサー・エリクソンの設計で、30を超える学術施設が点在しています。キャンパス内には陸上競技センターや、病院、天文台などもあります。

・サリーキャンパス

サリーキャンパスは、駅近くの都市の中心部にあります。非常に便利な場所です。

サイモンフレーザー大学がある街について

サイモンフレーザー大学の3つのキャンパスがある街は、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

・バンクーバー市

バンクーバー市はブリティッシュコロンビア州最大、カナダで8番目に大きな港湾都市です。北は湾、南は川に囲まれています。街の中心ダウンタウンは主要ビジネス地区で、多くの芸術・娯楽・スポーツ施設などがあります。都市的な部分と、自然の美しさの両方を楽しむことができます。カナダ国内では最も温かい都市の一つですが、雨は多いでしょう。サイモンフレーザー大学とブリティッシュコロンビア州などが提携し、サイモンフレーザー大学の学生が手頃な価格で公共交通機関を利用できる「U-pass BCプログラム」を提供しています。バンクーバーでの移動にとても役立ちます。

・バーナビー市

バーナビー市は、バンクーバーのダウンタウンまでメトロで15分ほどの位置にあります。多国籍の人が暮らす街で、イタリア、ギリシャ、ベトナムなどさまざまな料理を楽しめるのが魅力の一つ。ブリティッシュコロンビア州最大のショッピングモールもあり、ここで大抵のものは購入できます。

・サリー市

サリー市は、バンクーバーまで車で40分ほどの距離です。サリー市は急速に都市化が進んでおり、ブリティッシュコロンビア州においては第2の都市となっています。サリーは”公園の都市”として知られ、市内には15のゴルフコースや600を超える森林公園があります。

サイモンフレーザー大学の学部

サイモンフレーザー大学には、8の学部があります。コンピュータサイエンス、環境科学、エネルギーエンジニアリング、ビジネス分野などが特に評判です。また、サイモンフレーザー大学は、「気候変動対策」の分野で先進的で優れた研究を続けており、持続可能エネルギー工学は世界的にも注目の分野といえます。QS世界大学ランキング分野別2024においては、考古学、人類学、コミュニケーション＆メディア研究、地理学もカナダ屈指の学部・学科と評価されています。

サイモンフレーザー大学の学部は以下の通り。

学部	専攻（主なもの）
応用科学学部	コンピュータサイエンス、地理情報科学、持続可能エネルギー工学
文学部・社会科学部	人類学、考古学、心理学
ビジネススクール	会計、起業家精神とイノベーション、財務、人事管理、国際ビジネス
コミュニケーション・芸術・テクノロジー学部	コミュニケーション、現代美術、インタラクティブアート
教育学部	教育一般研究
環境学部	人文地理学、環境科学、地球環境システム
健康科学部	健康科学（文学士、理学士）
理学部	行動神経科学、生物化学、データサイエンス、地球科学、物理学

必要な費用について

海外大学に進学する場合、日本に比べて高額な費用がネックと考える人もいるでしょう。しっかりとかかる金額を把握し、対策を考えておかなければ、留学生活を始めることはできません。サイモンフレーザー大学の学費と、住居費（寮費）について紹介します。

学費

サイモンフレーザー大学の公式ホームページには、留学生の授業料が掲載されています。留学生の料金は、カナダ人学生よりはかなり高く設定されています。

その金額は学部によってさまざまですが、例えば1学年（2学期で10コース）の授業料と諸費用について、文学・社会科学部では36,024ドル（約390万円）必要です。さらに教科書・教材代として2,370ドル（約25万円）程度かかります。詳しくは公式ホームページで確認しましょう。

学費は日本の大学に比べると高めですが、サイモンフレーザー大学には国内外の学生を対象とした奨学金制度があります。高い学術的貢献、コミュニティ貢献を示すことができれば、こうした奨学金を活用できる可能性もあります。また理学部・健康科学部といった一部の学部学生対象の奨学金制度もあります。

学生寮の利用

サイモンフレーザー大学のバンクーバーキャンパスとバーナビーキャンパスには合わせて9つの学生寮があります。寮によって部屋タイプやアメニティ、雰囲気などは異なります。すべての寮は1人部屋ですので、プライベートが必ず確保されます。共用のラウンジやWi-Fi、家具なども備えてあります。料金は寮や部屋タイプによってさまざまですが、例えば「ノースタワー寮のシングルタイプ：3496ドル（2025年1月～4月）」「シェルハウス寮のシングルバス付タイプ：4,400ドル（2025年1月～4月）」などとなっています。寮生活では食事つきプランを選択することもでき、食事プランは3,381ドル（2025年1月～4月）が追加で必要です。

サイモンフレーザー大学は、学生向け賃貸物件の紹介もしており、キャンパス外のアパートなどで暮らすという選択肢もあります。

また学生は、キャンパス内でアルバイトをすることもできます。働き方によって、生活費の一部、または全額を賄えるかもしれません。

サイモンフレーザー大学へ直接入学

サイモンフレーザー大学へ直接入学するには高い学力、英語力が必要です。日本のような大学別のペーパーテストはありませんが、その代わりに高校卒業資格と高校時代の成績、英語力証明の試験結果が求められます。さらにサイモンフレーザー大学の特徴といえるのが、数学スキル（定量的・分析スキル）の証明が必要なことです。また一部学部では、上級レベルの数学、生物・化学・物理などの学力を追加要件として求められるので、注意が必要です。アメリカの大学のように、エッセーや課外活動成果を提出する必要はありません。入学条件（英語力）は以下の通り。

英語力	・IELTS　6.5（各セクション6.0以上） ・TOEFL／iBT　88点以上で、セクションスコアはスピーキングとライティングで20点以上

留学生向けパスウェイ プログラム

キャンパス内の提携機関・フレーザーインターナショナルカレッジ（ Fraser International College） が提供する留学生向けのプログラムを履修後、サイモンフレーザー大学の学部に編入できます。FIC プログラムは、留学生にカナダの高等教育制度を紹介し、初めてカナダで勉強する学生をサポートすることを目的としています。

パスウェイプログラムは次の通り。

・foundation（UTP Stage Ⅰ）

ファウンデーションプログラムは、サイモンフレーザー大学の経営学、コンピュータサイエンス、工学、社会科学などの学部への入学準備を目的としています。ファウンデーションコースで8つの科目を修了すると、次のInternational Year One（UTP StageⅡ）へと進みます。サイモンフレーザー大学への編入は、International Year One（UTP StageⅡ）を修了してからになります。

・International Year One（UTP StageⅡ）

このプログラムで10の科目を修了し、サイモンフレーザー大学が設けるGPAスコアの要件を上回ると、サイモンフレーザー大学の学部2年に進学できます。UTP StageⅡは1年間のプログラムです。

・Associate Degreeプログラム

2年間の学位プログラムです。フレーザーインターナショナルカレッジで準学士号を取得した後、サイモンフレーザー大学の学部3年生に編入できます。このプログラムでは、合計で60単位を取得しなければなりません。

一般のカレッジからの編入

フレーザーインターナショナルカレッジ以外の、カナダ国内のカレッジからもサイモンフレーザー大学の学部へ編入できます。一定以上の成績を取り、カレッジで得た単位が大学で認定されるなど、条件を満たすことが必要です。

カナダ国内ではサイモンフレーザー大学があるブリティッシュコロンビア州が、最もカレッジから4年制大学へ編入するシステムが整っています。「カレッジから大学編入」という方法のメリットや具体的な方法について見ていきましょう。

カレッジとは

カレッジは2年制で、日本の短期大学のようなイメージです。カレッジは4年制大学よりも入学難易度が低く、語学力に不安がある人は、この方法を取る方が入りやすくなります。そして、カナダでは、カレッジで必要な単位や語学力をクリアした場合に、大学に編入することができるのです。ただ、かならずしも「3年」に編入できるとは限らず、1年、2年次への編入という可能性もあります。単位の認定や手続きの関係上、同一州内のカレッジから編入するのがおすすめです。サイモンフレーザー大学であれば、ブリティッシュコロンビア州のカレッジということになります。

編入のメリット

①英語力の向上

日本から海外大学に進学する際、多くの人にとっての課題は「英語力」でしょう。カレッジ進学の際に求められる英語力は、4年制大学で求められるものよりは、低く設定されています。

また、大学の勉強で使う「学術英語」となれば特に高いレベルが必要です。カナダの大学はディベート形式の授業が多く、高度な英語を使って討論できるレベルに達していなければ授業についていくのは難しいでしょう。難解な単語が出てくる論文なども読み込まなければなりません。

そうした英語力を上達させるためにも、まずは小規模で学習環境の良いカレッジで学ぶのがよい方法だといえます。

②学力の向上

「高校時代の成績があまりよくない」という場合も、カレッジからの編入という手段が有効です。編入には、高校の成績は関係なく、代わりにカレッジでの成績を使って受験します。高校時代に良い成績を残せなかったとしても、カレッジで良い成績を残せば十分に合格が可能です。

③学費の節約

カナダの大学は、日本の大学に比べてかなり学費が高い傾向があります。サイモンフレーザー大学の年間学費は約400万円に上ります。この上生活費が必要となってきますので、留学をためらう理由となりかねません。一方のカレッジは年間学費200万円程度ですので、大学の2、3年次に編入したとすれば、1年次からサイモンフレーザー大学へ入学した場合と比べて学費を節約することができます。金銭的なハードルがずいぶんと下がるでしょう。

具体的な編入方法

サイモンフレーザー大学へ編入する際の一般的な要件は、移行可能な高等教育課程を最低24単位取得するということです。最大60単位まで移行することができます。

入学の可否については、受講したすべての移行可能単位を用いて計算したGPAに基づいて決まります。さらに英語の入学要件と、数学的スキルの要件を満たす必要があります。英語の要件は、「IELTS　6.5（各セクション6.0以上）」程度が目安です。さらに数学的スキルとしては、サイモンフレーザー大学に編入可能な3単位の数学または認定コースで、Cマイナス以上の成績を取得する必要があります。また、学部によっては上記に加えてオリジナルの条件（数学の必須単位があるなど）を加えている場合もあるので、注意が必要です。

サイモンフレーザー大学へ編入が可能なカレッジのコースについては、「BCトランスファーガイド」で調べることができます。

◆州内(In-state)からの編入

⇨ブリティッシュコロンビア州内のカレッジに２年間通い、その後サイモンフレーザー大学3年次（単位移行については要確認）への編入を目指すのが望ましいでしょう。同じ州内の大学への編入のほうが比較的単位互換の手続きもスムーズで、どのくらいの成績で修了すべきかなどの情報も豊富です。

◆州外(Out-of-state)からの編入

州内編入ならではのメリットはないですが、州外からのサイモンフレーザー大学編入も可能です。

ブリティッシュコロンビア州で人気のカレッジ

サイモンフレーザー大学周辺には、複数のカレッジがあります。今回はランガラカレッジを紹介。ランガラカレッジについては、別の記事でさらに詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

・ランガラカレッジ

ランガラカレッジは、バンクーバーにある公立コミュニティカレッジです。多彩なプログラムを展開しており、150以上のプログラム、1700以上のコースから選択できます。大きくは大学編入プログラムか、将来の職業に役立てるキャリアプログラムなどが選べます。編入の成功実績は高く、またアカデミック英語を学ぶ「LEAP」というプログラムを通じて語学力を高めることができます。

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