「アメリカの大学へ留学したいけれど学費が高い…」「奨学金を利用して留学したいけれど、いまいち仕組みを理解できない」などとお悩みの方はいませんか。

ただでさえ学費の高いアメリカですが、昨今の物価高騰でますますアメリカ留学への道は険しくなっているのが現状です。

しかしながら、アメリカには進学を助ける奨学金制度が多数あります。実際、アメリカの大学に通う学生の多くは奨学金を利用しており、なかには返済不要の制度も。

この記事では、日本ではあまり知られていないアメリカの奨学金の種類や奨学金獲得のポイントを解説します。日本人留学生が利用できるものもありますので、ぜひ最後までご覧ください。

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アメリカの大学は学費の高さが世界トップクラス

そもそもアメリカでは、大学の学費はどれほどかかるのでしょうか。文部科学省が公表している「2021年版諸外国の教育統計」を参照すると、日本とアメリカの大学における1年間の学費平均はおよそ以下のようになります(年度によって変動はあります)。

日本アメリカ
国公立:約53万円/年州立:約100万円/年
私立:約90万円/年私立:約340万円/年

参照 : 20210525-mxtchousa02-000015333_50.xlsx (live.com)

日本と比較すると、アメリカの大学はとても高額であることが分かります。アメリカの学費の高さは世界でもトップクラスであり、「レベルが高くなるにしたがって学費も高くなる」といわれています。

また留学では学費だけでなく、生活費が必要なことも忘れてはいけません。アメリカでは2022年5月、40年5ヶ月ぶりに消費者物価指数が8.6%上昇するという記録的な数値に。たとえば、食料品は2021年と比べ10.1%上昇、航空券に関しては37.8%の上昇となりました。さらに止まらない円安により(2021年初頭で1ドル104円程度、2023年1月現在1ドル132円)、日本人にとってアメリカで生活を送ることは決して楽ではないといえるでしょう。

このようなお金の問題を理由に、アメリカ留学をあきらめてしまう学生は多いものです。しかしながら、アメリカでの大学生活にかかる費用は工夫次第で大幅に抑えられます。そのひとつが奨学金制度。実際アメリカの大学生の約7割は奨学金や学資ローンなどを利用しています。留学生が利用できる制度もあるので、渡米をあきらめる前に、まずは利用できる制度がないか確認してみましょう。

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留学生も利用できる!アメリカの奨学金制度

留学するためにアメリカでお金を借りる方法はさまざまあります。代表的なのは以下の5つです。

1Grant返済不要対象外
2Scholarship返済不要留学生対象
3Financial Aid返済不要留学生対象
4ワーク・スタディ返済義務あり留学生対象
5学資ローン返済義務あり対象外

日本の奨学金は返済義務があるものが一般的ですが、そのような制度はアメリカでは「ローン」と呼ばれます。

アメリカで「奨学金」というと返済不要のものが多く、現地の学生のみならず留学生にも獲得のチャンスがあります。それぞれ詳しく説明していきます。

制度① Grant

連邦政府や州政府から支給される、返済不要の奨学金です。連邦政府からの奨学金は学士号を取得していない学生や、経済状況が苦しい学部生などが対象。州政府からの奨学金は州民が対象です。

それぞれさらに細かな条件が設定されていますが、基本的に対象となるのは現地の学生で、留学生は対象にならないことがほとんどです。

制度② Scholarship

主に私立大学から支給される返済不要の奨学金です。獲得基準は大学ごとに異なりますが、学業やスポーツなどで輝かしい成績を収めた学生や、経済状況が困難な学生が対象。授業料の一部または全額が免除になります。

アメリカでは、卒業生からの寄付金などを元に返済不要の奨学金を授与している私立大学が多数存在しています。たとえばプリンストン大学は2022年9月、年収$100,000以下の家庭に対して学費や寮費を免除することを発表しました。学校によっては「留学生は多様性に貢献している」とみなし、「日本人」という理由で奨学金を与えられる場合も。Scholarshipは留学生にも獲得のチャンスが十分あるため、ぜひ各大学の情報をチェックしましょう。

制度③ Financial Aid

各家庭の経済状況に応じて学資困難者に与えられる奨学金です。連邦政府や州政府からのGrantをもらえるほど困窮していないものの学費全額は支払えないという場合、その差額を埋めるために付与されます。

日本とアメリカの奨学金制度における大きな違いは所得制限が無い点です。日本では親の所得額によって奨学金の対象者を選出するため、低所得の世帯ほど奨学金がもらいやすくなります。

一方アメリカは、「その所得がどのような項目に支払われているのか」を重視。兄弟の学費や、老後積立、住宅ローンなど、さまざまな出費を考慮して判断するため、日本では奨学金の対象にならない高収入の世帯でもFinancial Aidに申し込めます。

制度④ ワーク・スタディ

連邦政府が行っている財政支援プログラムです。大学生が校内でアルバイトをして報酬を得るというスタイルの奨学金。

大学生と大学院生のどちらにも適用される制度ですが、留学生の場合は注意が必要です。
なぜなら、留学生に対して発行されるF-1ビザルールの規定では、週20時間以上のアルバイトは禁止されているためです。事前にルールをしっかり把握しておきましょう。

関連記事>>> アメリカでのアルバイトについて

制度⑤ 学資ローン

借りた分のお金を全て返済しなければならない制度で、住宅ローンやカードローンと同じように借金を背負うことになります。日本で奨学金と呼ばれるものは、この学資ローンにあたります。

GrantやScholarshipといった返済不要の奨学金は条件が厳しく、希望者全員が受けられるとは限りません。したがって学資ローンを組む学生も多いです。アメリカでの学資ローンは現地の学生が対象ですが、日本でも銀行などの教育ローンを利用して留学向けのローンを組めます。

しかし、学資ローンを組む際には金利などをしっかりと確認し、長期的に見て返済可能であるかを十分に検討する必要があります。アメリカではFederal Loan(連邦政府のローン)の借入額平均は560万円、多いと600万円以上になるともいわれ、返済に苦しむ学生も多くいるのが現状です。さまざまな制度を検討しながら実現可能な奨学金を選びましょう。

関連記事>>> 【2023最新】アメリカの奨学金制度について徹底解説!

アメリカの奨学金の仕組み

さまざまな奨学金の制度をご紹介してきましたが、奨学金は大きく以下の2種類に分けられます。

  • メリット型
  • ニード型

ここでは、それぞれの特徴や申請時のポイントを解説します。

メリット型

学業・スポーツ・芸術などの分野で活躍してきた、優れたリーダシップを発揮してきた、ボランティア活動に励んできたなど、輝かしい功績を残した学生に対する奨学金は「メリット型」と呼ばれます。優秀な学生に対して奨学金を与えるScholarshipなどが該当します。

メリット型の奨学金を目指す際は、自分自身の強みや経験をアピールすることが重要です。そのためには願書やエッセイの準備を万全にすることが不可欠。大学ごとに求められる条件やもらえる奨学金が異なるため、事前にさまざまな大学の情報を整理しておきましょう。

ニード型

経済事情が困難な学生に対する奨学金は「ニード型」と呼ばれます。

国からのGrantなどはニード型の奨学金です。また、多くの私立大学でニード型の奨学金を授与しています。たとえば、大学の学費が1年で500万円必要だけれど200万円しか払えない場合、残りの300万円は大学側が支給(減額)してくれるというものです。

留学生としてニード型の奨学金に申し込む際には、家庭の収支を明らかにしなければなりません。食費、光熱費、衣服費、保険、税金、家族の人数のほか、学費を支払う対象の人数、持ち家なのか賃貸なのかといった情報を細かく聞かれます。必要な分の奨学金を支給してもらうためには、実際にかかった金額を正確に記載して信頼を得ることがポイントです。出願方法が難しく制度を知らない日本人学生も多いですが、大幅に留学費用を抑えられる可能性が高まるため、まず選択肢に入れたい方法です。

奨学金ゲットの鍵は大学選び

奨学金をもとに留学を目指す場合、大学選びもポイントです。なぜかというと、留学生がもらえる奨学金は大学から与えられるものがほとんどのため。奨学金を獲得するための大学選びのポイントは以下の2つです。

  • 私立大学で返済不要の奨学金を狙う
  • 州立大学で州外料金の免除を狙う

私立大学で返済不要の奨学金を狙う

特に留学生が狙いやすいのは、私立大学が与えるニード型の奨学金でしょう。無事申請が通り奨学金がもらえれば、アメリカ留学も夢ではありません。さらに、ニード型とメリット型両方の奨学金を併願できる可能性もあります。ニード型の奨学金だけでは足りない分もカバーできるので、留学費用を抑えられるでしょう。日本国内の奨学金も併願できることもありますので、よく調べてみましょう。

奨学金がいくらもらえるかを簡易的に判定する方法としてNet Price Calculatorを導入している大学が多くあります。例として、ハーバード大学のNet Price Calculatorを参照してみましょう。家族情報、収入情報などを入力すると、ハーバード大での年間学費内訳が提示され、奨学金額、保護者支払額が算出されます。

例えば居住地域アジア、5人家族、年収$50,000(約645万円)だったとすると、奨学金額が約1,041万円($80,713)、負担コストは約45万円($3,500)と算出されます。あくまでも目安ですが、無事奨学金を授与できれば渡米も現実的となる金額でしょう。

参照: Net Price Calculator | Harvard

州立大学で州外料金の免除を狙う

私立大学と異なり、州立大学では残念ながら留学生が奨学金をもらえるケースはほとんどありません。それだけでなく、州民ではない学生には「州外料金」が課され、州民に比べて数百万円単位で学費が高くなってしまいます。

しかし、一定条件を満たすことで州外料金が免除される大学も。受け入れ枠は多くはありませんが、留学生も免除対象になり得ます。

そもそも州立大学は私立大学よりも学費が安い傾向にあり、州民料金であれば日本の大学と同じくらいの学費である大学もあります。州立大学で州外料金の免除を狙うのも一つの手でしょう。

関連記事>>> 【完全版】アメリカ大学の選び方について徹底解説!

奨学金を検討する際の注意点

アメリカの大学では、留学生も奨学金を獲得できるチャンスは多数あります。その一方で注意しなければならない点もありますので、よく理解しておく必要があります。

まず奨学金は学費のみが対象になることが多く、家賃や食費は自分で負担する必要があります。留学先では学費だけでなく、生活費が必要です。大学卒業までにかかる生活費を工面できるかしっかり考えましょう。

そして最も大切なのは、奨学金を得るためには成績が重要になってくるという点です。特に返済不要の奨学金を得るためには優秀な成績を収めている必要があり、GPA3.5以上は目指したいものです。GPA3.5以上を保持していると、成績優秀者のリストである「Dean’s List」に載ることができ、奨学金を得られる可能性もアップします。

このほか、アメリカでの奨学金のほかに日本国内にも留学生向け奨学金制度や学資ローンもあるのでご紹介します。たとえば、日本学生支援機構(JASSO)では年間250万円までの授業料実費額等が授与される返済不要の奨学金を提供しています。競争率も高く希望者全員が受けられるわけではありませんが、挑戦する価値はあるでしょう。

また、日本政策金融公庫(JFC)では海外留学用の「一般教育貸付」として最大450万円まで固定金利で貸付けています。JASSOの奨学金と併用することもできるので、現地の奨学金制度と併せて検討してみてはいかがでしょうか。

GPAの計算はこちら>>> 【簡単】GPAの計算方法って?成績評価別の換算方法を解説!U-LABOオリジナルGPA計算機の使い方も

もっと節約したいなら

奨学金の種類や獲得方法などについて解説してきましたが、それでもできるだけ学費や生活費は安く抑えたいものです。留学費用を抑える手段のひとつとしておすすめなのはコミュニティカレッジです。

コミュニティカレッジとは2年制大学のことで、学費も安く$10,000程度で通えます。4年生大学に1年次から在学するよりも、コミュニティカレッジに2年間通った後、3年次に4年制大学へ編入することで学費を大幅に抑えられます。コミュニティカレッジにいるうちにできるだけ多くの単位を取得すると編入後に取る単位も減るため、より節約につながるでしょう。

大学の知名度などを気にしないならば学費の安い大学を選ぶのも手です。学費が高いといわれるアメリカですが、なかには比較的良い教育を提供しながら学費が$15,000程度の大学も。また、どこに住むのか、一人暮らしなのか寮なのかによっても大きく費用が変わります。

たとえば2022年で最も生活費が高かったのはマサチューセッツ州ボストンで、年間約$36,400。対して中西部に位置するミズーリ州ジェファーソンシティでは$21,100。その差は約$15,000と大きな差があります。生活費を抑えたいなら、アメリカ中西部の大学で寮生活をすることを検討してみてもいいかもしれません。留学の目的や目標に応じた大学選びをしてみてください。

関連記事>>> コミュニティカレッジから大学へ編入することのメリット・デメリット

まとめ

今回は、アメリカの大学における奨学金制度についてご紹介しました。お金の問題で留学を諦めずに済むよう、奨学金の制度について正しく理解しましょう。

そうはいっても、奨学金の仕組みや条件には難しい内容も多く、一人で準備するのが大変な場合もあるでしょう。

そんな時は留学のプロからアドバイスを受けることがおすすめです。

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記事監修・・・小泉 涼輔
記事監修・・・小泉 涼輔

U-LABO代表。高校の時の偏差値28から、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)を飛び級で卒業。日本で最もアメリカ名門大学への編入に精通した専門家の1人として、これまでに多くの学生を合格に導いている。2022年にはUCLAが選ぶグローバルに影響を与える企業・起業家100(「UCLA Bruin Business 100」)に選出された。著書「UCLAに留学したいと思ったら読む本
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