今回は特別に1960年代にUCLAに留学され、卒業後は、IBMやコンパック(現日本HP)などで長年日本のIT業界の成長を支えてきた村井さんにインタビューをさせていただきました。
IT業界に進もうと思われたきっかけから、「日本経済の成長にとって何が必要か」といった重要なテーマまで、様々な興味深いお話を聞かせていただきました!
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UCLA留学の感想を教えてください。
実は、留学前は将来に対して「留学から帰ってきたら家業を継ぐんだろうな」という漠然としたイメージしか持っていなかったのですが、UCLAへの留学が私の人生を大きく変えました。
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UCLA卒業後、IT業界に進もうと思われたきっかけは何だったのでしょうか。
私がUCLAに留学した1960年は、IBM7090というトランジスタをベースにした大型コンピュータが初めて商品化された翌年でした。
IBM7090は西海岸と東海岸の大学にそれぞれ寄付されていて、西海岸の寄付先はUCLAでした。私がUCLAの入学手続きに行ったとき、受付の横にIBM社が寄付したウェスターンデータセンターがあり、そこでIBM7090が稼働しており、初めて見たコンピュータの大きさや威力に感銘を受けました。また、ウェスターンデータセンターのすぐ横に、江崎ダイオードも飾られていました。
当時、江崎ダイオードはノーベル賞を取ったばかりで、IBM7090と江崎ダイオードがすぐ横に置いてあるのを見て、「これからはコンピューターの時代がくる!」と思い、大学の申込書を書きながら、「卒業したらコンピュータ産業をやる!」と決めました。
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具体的にどんなお仕事からスタートされましたか?
UCLAに留学した1960年からコンピュータを使い始めて、在学中の2年間は、コンピュータを使った学校内の統計分析のアルバイトをしていました。
卒業後は、米IBMに入社して、1964年の東京オリンピックのシステムを担当したり、日本の、銀行向けに普通預金や定期預金などのオンラインシステムを設計し、ネットワーク化されたコンピュータを初めて銀行に導入するなど、コンピュータに関わる様々な業務に携わってきました。
その後、1991年にコンパックコンピュータ株式会社(現日本HP)というパソコンの会社を立ち上げるに至ります。IBM7090を初めて見た日の決意の通り、生涯コンピュータ産業に骨を埋めてきましたね。
UCLAでの経験は、その後の仕事や人生に活かされましたか?
今生存されている日本人で、1960年にコンピュータを使っていた方はほとんどいないと思います。UCLAに行ったからこそコンピュータと出会い、他の方たちとは違ったキャリアを積むことができたわけです。
私がUCLAではなく、他の大学に留学していたらそもそもウェスターンデータセンターの出会いがなく、そうしたら留学後は日本でビジネスをやったり家業を手伝ったりしていたのかもしれません。
アメリカと日本の文化の違いはどんなところですか?
昔に比べ、今は英語を喋れる人がだいぶ増えました。ですが、やはり決定や判断の場において日本人は未だに消極的です。
アメリカは様々な人種がまぜこぜに生活をしているのでカルチャーもバラエティーに富んでいますが、日本は「日本人」という一つのカルチャーしかないので、幅の広い思考能力、判断力が足りていません。海外に比べて、日本の非常に保守的な文化が、日本経済や企業の成長が遅れている大きな原因でもあると思っています。
今は東南アジアがどんどん伸びて来ています。本来、アジアが伸びて来ているのなら日本はリーダーシップをとっていかなくてはいけないのです。
リーダーシップを取るにあたっては、判断力、決断力、行動力など、もっと果敢に攻める姿勢を持たないといけないと思うんですが、日本人は非常に消極的だと思います。この消極的なカルチャーを乗り越えないと、国際的に見ても日本の地位はどんどん下がっていってしまいます。
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世界に挑戦できる日本人を増やすためには何が必要でしょうか?
日本人がグローバルになるためには、やはり日本の外に出ることが大切だと思います。海外で2~3年ほど生活して、アメリカなど、海外の人たちと喧々諤々やりあうという、そういう経験が非常に大きな意味をもつと思います。
カリフォルニア大学の魅力を教えてください。
日本の外に出るとなると、留学という選択肢が出てくると思います。「じゃあアメリカに留学しよう」と考えたときに、次に考えるべきは西海岸と東海岸どちらを選ぶのが良いかということです。
最初にもお話ししましたが、東海岸に比べて西海岸の人は生活スタイルが明るく、非常にオープンです。西海岸のオープンな社会は、初めてのアメリカ生活でも、ポジティブな生活ができるんじゃないかなと思います。そういう意味でもカリフォルニア大学はおすすめです。
余談ですが、私はIBMの幹部社員だったので米国IBMのトップと話す機会も多くありましたが、実は、カリフォルニア大学卒業生は米国IBMの中で評価が高いです。
西海岸はオープンマインドですよね。人との付き合いのうまさ、コミュニティの作り方のうまさはカリフォルニア大学の卒業生は非常に評価が高いです。
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今後UCを目指される若い世代にメッセージをお願いします。
私が留学したころは終戦直後だったこともあり、海外で最新技術などを学んで、日本に戻って事業を始めるという人が大勢いました。時代は代わりましたが、「異なるカルチャーの中で生活したり学んだ」という経験は、人生を決める上での選択肢が広くなるということに変わりはありません。
日本人に限った話ではないですが、自分が生まれ育った場所とは違うカルチャーを見つけるということは、自分の人生計画を作る上ではとても重要だと思います。
大変貴重なお話をありがとうございました!
※本インタビュー記事は、『UCLAに留学したいと思ったら読む本』(小泉涼輔著、ラーニングス出版)の内容を一部抜粋したものになります。
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