「アメリカ留学前に現地の治安について理解しておきたい」などとお考えではないでしょうか。

アメリカと日本では治安が大きく異なります。日本と同じ感覚で過ごすと、トラブルに巻き込まれる恐れがあります。

この記事では、治安が良い・悪いエリアのランキングとトラブルを避けるため心がけたい行動、トラブルに遭ったときの対処法などを解説しています。

以下の情報を参考にすれば、留学の計画を立てやすくなるはずです。アメリカへ留学する前に確認しておきましょう。

アメリカの治安は日本と比べてどうなのか?

FBIが発表している資料によると、2021年のアメリカにおける凶悪犯罪・過重暴行の件数は694,050件、財産犯罪の件数は4,145,374件です。人口10万人あたりにおける犯罪発生件数は、凶悪犯罪が398.5件(2020年)、財産犯罪が1958.2件(2020年)となっています。

日本と比較するとどのようになるのでしょうか。2021年における殺人事件発生数はアメリカが13,537件、日本が874件、強盗事件発生件数はアメリカが121,373件、日本が1,138件です。集計基準などが異なるため正確に比較することはできませんが、アメリカは日本よりも治安が悪いといえるでしょう。[1]

ただし、日本は世界で最も治安が良い国のひとつと考えられています(世界競争力レポートの安全に関する調査では10位)。日本と比べると、ほとんどの国は治安が悪くなってしまいます。日本よりも治安が悪くなることは、留学にあたり受け入れるべきリスクといえるでしょう。

出典[1] : 外務省海外安全ホームページ「アメリカ合衆国(米国)」

アメリカで治安のよい州・エリア

アメリカの中にも治安が良い州・エリアはあります。すべての地域が同じように悪いわけではありません。safewiseが発表している安全な都市ランキングによると上位15の地域は次の通りです。[2]

【安全な都市ランキング】

  1. ニューヨーク州ルイスボロ
  2. マサチューセッツ州ウェイランド
  3. ニューヨーク州ライ
  4. オハイオ州ブロードビューハイツ
  5. マサチューセッツ州フランクリン
  6. マサチューセッツ州ノーフォーク
  7. ニュージャージー州スパルタ タウンシップ
  8. ニュージャージー州ハスブルックハイツ
  9. ニュージャージー州バークレーハイツタウンシップ
  10. マサチューセッツ州ホールデン
  11. オハイオ州クリアクリークタウンシップ
  12. オハイオ州オルムステッドタウンシップ
  13. マサチューセッツ州クリントン
  14. オハイオ州サガモアヒルズ
  15. マサチューセッツ州ホプキントン

これらの共通点は、人口がそれほど多くないことと大都市圏の郊外に位置することです。上位3州・エリアの特徴を紹介します。

第1位 : ニューヨーク州ルイスボロ

ニューヨーク州中央部北に位置します。人口12,533人で、暴力犯罪・財産犯罪とも非常に少なくなっています。

第2位 : マサチューセッツ州ウェイランド

マサチューセッツ州ミドルセックス郡にある町です。人口は13,859人となっています。ルイスボロよりも暴力犯罪の割合は高いですが、それでも治安は極めて良好といえるでしょう。

第3位 : ニューヨーク州ライ

ニューヨーク州ウェストチェスター郡に位置します。人口15,692人で、財産犯罪は多少起きているものの、暴力犯罪は少ないようです。グランドセントラル駅へアクセスできる点も魅力といえるでしょう。

出典[2] : safewise「100 Safest Cities in the US」

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アメリカで治安の悪い州・エリア

アメリカで治安が悪い州・エリアは次の通りです(トップ10はsafewiseより[3])。

【治安が悪い州・エリア】

  1. テネシー州メンフィス
  2. アラスカ州アンカレッジ
  3. ニューメキシコ州アルバカーキ
  4. テキサス州ラボック
  5. リトルロック ノースリトルロック コンウェイ
  6. ルイジアナ州シュリーブポートボージャーシティ
  7. カリフォルニア州ベーカーズフィールド
  8. ユタ州ソルトレイクシティ
  9. ミズーリ州スプリングフィールド
  10. テキサス州コーパスクリスティ
  11. アラバマ州ベッセマー
  12. ミシガン州サギノー
  13. ミシガン州デトロイト
  14. ウィスコンシン州ミルウォーキー
  15. オハイオ州クリーブランド

上位3州・エリアの特徴は次の通りです。

第1位 : テネシー州メンフィス

テネシー州の西側に位置します。ブルースをはじめとする音楽が盛んな地域です。失業率とともに暴力犯罪・財産犯罪の発生率も高くなっています。

第2位 : アラスカ州アンカレッジ

アラスカ州の中央に位置する同州で最も大きな都市です。先住民の文化が受け継がれている歴史豊かな都市でもあります。失業率はそれほど高くありませんが、暴力犯罪・財産犯罪とも多く起こっています。

第3位 : ニューメキシコ州アルバカーキ

ニューメキシコ州の中央に位置する商工業が盛んな都市です。メンフィスと同じく貧困層の割合がやや高くなっています。暴力犯罪・財産犯罪ともに気を付けたいエリアです。

出典[3] : safewise「10 Most Dangerous Cities in the US for 2022」

アメリカ留学中に巻き込まれやすい犯罪・トラブル

アメリカ留学中は、特に以下の犯罪やトラブルに注意が必要です。

銃犯罪

改めて言うまでもありませんがアメリカは銃社会です。

憲法で銃を保持する権利を認めているため、街ですれ違った一般人が銃を所有していることもあります。当然ながら、日本よりも銃に関連する犯罪は多くなります。

例えば、銃を突き付けて、相手を脅すなどが考えられるでしょう。

また、アクティブ・シューター事件にも十分な注意が必要です。アクティブ・シューターは、大勢の人が集まる場所で1人またはそれ以上のものが銃を用いて人を射撃することです。アメリカ留学の際は、銃が身近にあることを理解しておきましょう。

薬物犯罪

薬物との距離感も日本とは異なります。厚生労働省が発表した「主要な国の薬物別生涯経験率」は次の通りです(一部を抜粋して編集)。[4]

 年齢 大麻 覚せい剤 MDMA コカイン ヘロイン 
アメリカ 12歳以上 44.2% 4.9% 6.6% 14.8% 1.8% 
日本 15~64歳 1.4% 0.5% 0.2% 0.3%  

薬物が身近に存在するため、友人に勧められて使用するなども考えられます。

また、バーやクラブで「ドリンクに薬物を混入される犯罪」に巻き込まれることもあります。日本でも同様の犯罪は起きていますが、薬物を入手しやすいアメリカではそのリスクが高くなります。

出典[4] : 厚生労働省「主要な国の薬物別障害経験率」

強盗

アメリカ留学の際は、強盗にも十分な注意が必要です。

刃物や銃を突き付けて、金品を奪うなどの犯罪が起きています。ニューヨークにおける強盗の発生件数は17,226件、東京における強盗の発生件数は228件です(2022年。対象となる犯罪が異なるため参考程度にとどめてください)[5]。

以上の比較を見れば、強盗に遭うリスクが高いと理解できるはずです。ちなみに、ニューヨーク市は、アメリカの大都市の中で治安が良い都市に分類されます。

出典[5] : 在ニューヨーク日本国総領事館「ニューヨーク市の治安」

置き引き

レストランやショッピングモール、ホテル、駅など、不特定多数の人が集まる場所では置き引きにも気を付けなければなりません。

日本と同じ感覚で荷物を管理していると、簡単に盗まれる恐れがあります。

例えば、荷物を置いて席を離れると、戻ってきたときになくなっているかもしれません。アメリカでは、自分のモノは自分で守ることを求められます。ちなみに、置き引きは比較的治安が良いとされるエリアでも起きています。油断しないようにしましょう。

関連記事>>> アメリカ留学のメリットとは?デメリットと共に紹介!

アメリカでトラブルに巻き込まれないようにする対策

トラブルに遭遇する確率は、心がけ次第で引き下げられます。アメリカ留学を検討している方は以下の点に気を付けましょう。

対策① 夜間の外出を避ける

一般的に、人目に付きにくい夜間のほうが犯罪に巻き込まれやすいと考えられています。

日本の法務省が発表した犯罪白書によると、殺人群は午後6時~午前6時に65.6%が集中しています[6]。また、ニューヨーク市では、午後11時~午前5時の6時間に殺人事件の33%が発生しています[7]。

具体的な犯罪発生率は、エリアや犯罪の種別で異なりますが、夜間に殺人をはじめとする重大犯罪のリスクは高まりやすいといえるでしょう。夜間の外出を控えると、アメリカでトラブルに巻き込まれにくくなる可能性があります。

出典[6] : 法務省「犯罪白書」

出典[7] : 一般財団法人自治体国際化協会ニューヨーク事務局「2011年ニューヨーク市の殺人事件 ~人種比等からの検証~」

対策② 危険な通りに行かない

アメリカにおけるエリアの危険度は通りによっても異なります。

通りを一本外れるだけで危険度が一気に上がるケースは少なくありません。危険な通りへ行かないことも、トラブルを避ける基本の行動です。アメリカで生活する場合は、お住まいの地域で治安が悪いとされる通りの情報を集めておきましょう。わからないときは、通りの雰囲気を確認すると情報を集められます。

他の通りよりも暗い、落書きが多い、不審者が集まっているなどの通りは、治安が悪い恐れがあります。別の通りを探すほうがよいかもしれません。

対策③ 貴重品を携帯する

荷物の管理方法も日本とは異なります。席を離れるときは、貴重品を必ず携帯しなければなりません。友人などが席に残っている場合も基本的には同様です。席へ戻ったときに貴重品がなくなっていると、友人とトラブルになってしまいます。前述の通り、アメリカでは自分のモノは自分で守ることを求められます。

貴重品を携帯するときは、周囲から見えないようにしましょう。例えば、財布を手に持ってトイレへ出かけるなどはNGです。悪意のある人物に目を付けられる恐れがあります。目立たないように携帯することが重要です。

対策④ 現金を持ち歩かない

持ち歩く現金を少なくすることでもトラブルを遠ざけられます。財布を落としたり盗まれたりしたときに被害額を抑えられるからです。

もちろん、クレジットカードを使われることも考えられますが、すぐに停止すれば被害の拡大を防げます。アメリカは日本以上にキャッシュレス化が進んでいるため、少額の現金しか持っていなくても快適に生活できることがほとんどです。

何かしらの理由でクレジットカードを作れない場合は、プリペイドカードなどを活用するとよいでしょう。

対策⑤ ブランド品を身につけない

ブランドものの洋服や時計などを身に付けていると、強盗や置き引きなどを引き寄せてしまう恐れがあります。お金をもっている、ブランド品を奪いたいなどと犯罪者に思わせてしまうからです。

また、浮かれ気分の旅行者と捉えられることもあるでしょう。いずれにせよ、トラブルに巻き込まれやすくなるため注意が必要です。アメリカ留学では、周囲から浮かないファッションを心がけましょう。

対策⑥ 銃社会であるということを理解する

アメリカは日常の中に銃が存在します。自宅で過ごしているときに、発砲音が聞こえることもあります。日本とは、銃との距離感が異なる点を認識しておかなければなりません。

ちょっとしたトラブルでエキサイトして銃が使用されることもあります。少しでも危険を感じたら、その場から離れることが重要です。

トラブルに巻き込まれてしまった場合の対処法

気を付けていてもトラブルに巻き込まれることはあります。トラブルに巻き込まれたときは、次の方法で対処しましょう。

対処法① 緊急通報(警察・消防・救急車)

トラブルが発生したときの対応は日本と同じです。まずは、落ち着いて緊急通報を行いましょう。アメリカにおける電話番号は、警察・消防車・救急車とも911です。

911に電話すると、所在地管轄のコールセンターへつながります。ここで「What is your emergency?」などの質問に答えて対処します。英語に自信がない場合は「Japanese please.」と伝えれば、日本語通訳者を通して緊急通報を行えます。ただし、通訳者の準備に時間がかかることもあります。要件・場所だけでも英語で伝えるとスムーズに対処できるでしょう。

対処法② 学校の先生やサポートスタッフに相談

トラブルの対処法がわからない場合は、学校の先生やサポートスタッフなどに相談するとよいかもしれません。トラブルの内容を説明することで状況を整理できます。

また、相談者の英語力や現地の状況を踏まえたアドバイスを受けられる可能性もあります。その場で解決できない場合は、適切な機関へつないでくれるなどの対応を期待できでしょう。

対処法③ 留学エージェントに相談

学校の先生やサポートスタッフへ相談しにくい場合は、留学エージェントへ相談することもできます。留学エージェントのメリットは日本語で対応してくれることです。英語で説明が難しい場合も詳細を伝えられます。

ただし、相談できる時間帯は基本的に営業時間内になります。サポートを受けられない時間帯は、他の方法で対処しなければなりません。

関連記事>>> アメリカ留学にオススメの留学エージェント5選

対処法④ 現地の友人に相談

ルームメイトをはじめとする現地の友人に相談することもできます。ただし、同じ留学生の場合、有効な解決策を導き出せない可能性が高いでしょう。

基本的には、困ったときに寄り添ってくれる存在と考えられます。とはいえ、頼りになることは事実です。まずは、現地の友人に相談して、気持ちを落ち着かせるとよいかもしれません。

カリフォルニア大学があるカリフォルニア州の治安について

当サイトを運営するU-LABOではカリフォルニア大学の編入など、アメリカの大学への進学サポートを行っております。

ここからはカリフォルニア州の治安について解説します。

ロサンゼルス

ロサンゼルス市警が発表した資料によると、2022年における犯罪発生件数は132,221件です。2021年に比べて7.8%増加しています。

特に、増えているのが財物を目的とした犯罪です(10.1%増)。一方で、殺人事件は382件(5.0%)減少しています。[8]

ロサンゼルスの中でも特に治安が悪いエリアとして、スキッドロウ・サウスロサンゼルス・コンプトンがあげられます。

出典[8] : 在ロサンゼルス日本国総領事館「海外安全情報(令和4年度第3四半期)」

関連記事>>>UCLAがあるロサンゼルスの特徴とは?UCLAの魅力を紹介!

サンフランシスコ

サンフランシスコは、アメリカの中で治安が良い地域と考えられています。

サンフランシスコ市警の発表によると、2022年7~12月における殺人は32件、強盗は1,208件、傷害・暴行は1,327件、その他窃盗は18,447件となっています。[9]

犯罪発生件数は、前年同期と大きく変わっていません。車上狙いやスリなどの窃盗に、特に気を付けたいエリアといえるでしょう。ちなみに、テンダーロイン・サウスオブマーケット・ウエスタンアディションは、サンフランシスコの中で治安が悪いといわれています。

出典[9] : 在サンフランシスコ日本国総領事館「海外安全対策情報(令和4年7月~12月)」

関連記事>>> アメリカ留学でおすすめのサンフランシスコの観光スポットを紹介!

サンディエゴ

一般的に、サンディエゴは治安が良い地域と考えられています。

サンディエゴ市警の発表によると、2022年における殺人は51件、強盗は3,239件、窃盗は15,390件です。[10]
殺人・強盗・窃盗とも、発生件数は2021年よりも少なくなっています。

サンディエゴで治安が悪いエリアとして、パシフィックビーチ・イーストビレッジ・ノースパークがあげられます。

出典[10] : サンディエゴ市警「UCR Crimes by GeoArea」

サンタバーバラ

サンタバーバラも、治安が良い地域として知られています。
温暖な気候で過ごしやすいため、留学に向いているエリアといわれることが少なくありません。

とはいえ、日本よりも治安は悪くなります。犯罪が起きているエリアは、サンタバーバラ警察署が発表しているコミュニティ犯罪マップで確認できます。犯罪発生状況が心配な方は、確認しておくとよいでしょう。

>>>City of Santa Barbara | Community Crime Map & Compstat Reports

リバーサイド

リバーサイドの治安は、良くも悪くもないといった印象です。

2018年1月~11月における暴力犯罪は1,513件(殺人を含む)、財産犯罪は9,330件です。[11]
この期間で犯罪発生率が最も高いのは西エリア(27.0%)、次に高いのは東エリア(26.8%)となっています。

出典[11] : リバーサイド警察署「PART I CRIMES」

関連記事>>> カリフォルニア大学(UC)の10あるキャンパスを徹底解説!

ご家族がアメリカ留学検討中の方へ

ご家族がアメリカへ留学する場合、家族内でルールを決めておくことが重要です。

具体的には、滞在先を必ず教える、日本へ定期的に連絡するなどが考えられます。このようなルールを決めておかないと、連絡が途絶えて日本の家族が不安になることがあります。

本人がアメリカで元気に過ごしていたとしても、日本でこれまで通りの生活を送っている家族にはわかりません。留学前に、本人・家族とも安心して過ごせるルールを決めておきましょう。

アメリカは日本より治安が悪い!留学前に準備をしましょう

この記事では、アメリカへ留学するときに知っておきたい治安について解説しました。

具体的な状況はエリアで異なりますが、基本的には日本よりも悪いといえます。トラブルに巻き込まれないため、夜間に出歩かない、危険な通りに入らないなどの注意が必要です。

日々の行動に気を付ければ、アメリカでも快適に過ごせることが少なくありません。この記事を参考に、アメリカ留学の準備を進めてみてはいかがでしょうか。

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